さり気ない横浜市 税理士
Hm・ショック、Mファンド・ショックが相次いで発生し、T証マザーズや大証ヘラクレス上場のIPO(新規公開株)ブームはあえなくついえてしまいました。
このように、人は何かが不足していると考えれば、たとえ不要なものでも欲しがる傾向にあります。
車にカーナビは必ずしも必要ではありませんが、人は自分の車に搭載されていないことを認識すると、たちまち欲しがる傾向にあるのと同じです。
株式市場も同じです。
投資家、特に経験の浅い個人投資家はブームや根拠のない噂に乗せられ、熱狂し、「すぐ儲かりそうなもの」に手を出してしまうのです。
株式投資の鉄則は(安く買って、高く売る)ですから、ブームの渦中で投資することは、これにまったく逆行するのですが、その中にいる投資家はえてしてそのことに気がつかないものです。
このように、ETF投資で着実に成果を上げていくためには、常に冷静かつ客観的にマーケットを見つめ、自分のポートフオリオの状況を判断していかなければならないのです。
私は約9年間、メガバンクのプロプライエタリ・ディーラーとして自己資本の運用に携わった経験があります。
デイール(取引)の対象は資金、為替、金利先物(ユーロダラー)、金利オプションなどさまざまでした。
当初はジュニア・ディーラーでアシスタント業務を担当していましたが、ディーラーになると扱えるポジション(取引金額)も大きくなり、1994年当時でワンショットあたり最大200億円前後をデイールしていたと記憶しています。
ディーラーの最大の関心事は、「いかに大きく儲けるか」よりも、「いかに損をしないか」でした。
損を最小限にするため、ディーラーはいつもギリギリの選択を迫られるわけです。
利喰い、損切り、ポジション増減、ポジション解消などを臨機応変に対応していかなければなりませんでした。
ディーラー、特にプロプライエタリ・ディーラーは、とにかく少しでも銀行の自己資本を増やせばいいのですから、シカゴあたりの筋金入りジョバー(手金を張るディーラー)と比べ、精神的に相当楽だったかもしれません。
それでも、銀行のお金とはいえ最高200億円程度の資金を張るわけですから、相当なプレッシャーがあったのは事実です。
さて、一般に、プロスポーツや芸術の世界に足を踏み入れ活躍することができるのは、きわめて少数の人々です。
一方、株式投資で着実に収益をあげていくのは、プロでも一般投資家でもかなり難しいことなのですが、テクノロジーの発達により、この“困難な世界への扉”は大きく開かれました。
つまり、株式市場というフィールドには、プロもアマチュアも等しく参加が可能であるということです。
こうした機会平等はとても喜ばしいことなのですが、同時に、一般投資家もプロと同じようにメンタル面をコントロールしていかなければならない状況になってきているとも言えるのです。
すでに述べたように、ETF(株式)投資で最も難しいのは、利喰いと損切りをどの時点で行うかということでしょう。
加えて、投資成果を最大化するため、さらに投資を続けていくモチベーションを維持するのも並大抵のことではありません。
このように、プロであれアマチュアであれ、メンタル・リスクとうまく付き合っていくことが、投資成果を最大化するといっても過言ではありません。
ここでは、一般投資家が落ち入りやすいメンタル・リスクをパターン化して、そのリスクにどのように対応していくかを考えていきたいと思います。
たまたまポートフォリオに組み入れた銘柄が、マーケット全体の上昇局面にうまく乗り、予想外のパフオーマンスを達成した状態。
もともと預貯金よりも利回りがよければOKと考えていたが、たった1週間の投資で5%も上昇したので、このペースでマーケットも上昇するのではと期待している。
冷静に考えればわかるのですが、1週間ごとに5%上昇し続けたとすると、その銘柄の年間騰落率はプラス1164%(約12倍)となります。
投資の対象が株価指数に連動するETFの場合、まずありえない上昇率です。
リスクといえば下がるリスクを考えがちですが、一般投資家の場合は「上がり続けると思う」ことも大きなリスクです。
株式取引において、1週間で5%上昇することは珍しいことではありません。
逆に、5%下がることも珍しくはないのです。
つまり、株価は直線的に上昇するものではなく、上昇と下落を繰り返しながら、上昇していくものです。
したがって、もし私がそのようなポジションを持っていれば、おそらく、いったん利益を確定する(利喰い)をするでしょう。
ポイントは、「ポジションをほったらかしにしない」ということです。
ポートフォリオに組み入れたETFの当初のパフォーマンスは良好だったものの、1カ月後に値下がりし始めた。
いまや、パフオーマンスはマイナス10%、評価損は50万円である。
先行きの株価は下落予想が強いものの、このタイミングでは思い切って売ることもできない。
力勤といって、長期投資を志向していたわけではなく、いずれ株価が上昇することをなんとなく期待している状況。
売るに売れない状況が何ヵ月も続くと思うと、いても立っても居られない。
もう、株式投資なんかやめてしまおうか。
個別銘柄に限らず、ETFでも買いよりも売りが難しいのは同じです。
なぜ売りが買いより難しいのか?さまざまな要因が考えられますが、何点か事例をあげましょう。
これらを知ることで、着実な利喰いや損切りをしていくには、自分の心理と逆のことを実践していかなければならないということに気付かれることと思います。
そもそも株式投資は買わないとコトが始まりません。
値上り益を狙うにせよ、配当を狙うにせよ、株式を買わない限り実現するものではありません。
したがって、心理的には買いは楽観に基づいて行われ、売りは悲観もしくは否定によって行われるのです。
たとえ、現在保有しているポジションが一時的にマイナスであったとしても、そのポジションを保有し続けない限り、利益は生まれません。
投資家はこの事実を本能的に理解しているため、値上りすると「さらに上昇する」と思い込み、値下がりすると「いずれ戻る」と楽観視することで、利喰いや損切りのタイミングを逸するのです。
結論としては、利喰い/損切りを早めにするか、長期的な観点でそのポジションを保有するか、どちらかに決めておかなければなりません。
他人の銘柄推奨を参考にするにせよ、自分自身で銘柄を選ぶにせよ、投資行動を決定したのは投資家本人です。
投資を決定し、実行した時点で投資家は「正しい行動」をとったものとして、肯定しています。
投資対象が値上りしたら「まだ上がる」と肯定し、値下がりしたら「いつか上がるハズ」と考えてしまいます。
このような思考回路の中で「売り」を決定することは、利喰いであれ損切りであれ、自分が決定した「買い」という行動を自己否定することを意味します。
人間は自分自身の選択の過ちをなかなか認めたがらない存在ですから、「買い」という行動を否定する「売り」には、心理的に相当超えがたい壁があるのです。
言い換えれば、「売り」は感情で行うものではなく、数値的な目標を定めて理性的に行うことが重要だということです。
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